人間椅子 「此岸礼讃」

此岸礼讃

此岸礼讃

1年9ヶ月ぶりとなる通算20作目。


再生した瞬間から稲妻の如く走るヘヴィサウンド。俺は彼らのカタログを全ては追えていないのでアレですが、この今の時代らしく強化された肉感的なアンサンブルは、彼らの中でも屈指のダイナミズム/アグレッションを持っているのではないでしょうか。方向性としては今まで通り、メロディやリフ、歌詞に和風のモチーフを導入し、プログレッシブあるいはドゥーミーな要素も多く取り入れた 70's HR/HM というところですが、これだけ長い間やっててもネタ切れ感を見せないのはさすがの手腕。 「マンネリズムとはひとつのイズム (主義) であり、ワンパターンとは違うもの」 とは上野耕路の言葉 (多分) ですが、彼らはそれを地で行く偉大なマンネリズム。今作のハイライトを挙げるとしたら、鮮烈かつ壮大なオープナー 「膨張する宇宙」 、珍しくハモりでメロディを立たせた痛快ロックンロール 「ギラギラした世界」 、得意の津軽弁が冴えるハードロック囃子 「泣けば山がらもっこ来る」 、タイトルそのままスラッシーに突っ走る 「地獄のロックバンド」 、淫靡な禍々しさと鋭い切れ味が合致した 「今昔聖」 あたり。年甲斐もなく脂ギッシュな勢いが詰まった、初心者大歓迎な一発。


Rating: 8.2/10
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