supercell 「ZIGAEXPERIENTIA」

ZIGAEXPERIENTIA

ZIGAEXPERIENTIA

2年8ヶ月ぶりとなる3作目。


ロ、ロックンロールなんですの?ズルズルと引き摺るグルーヴがグランジの野蛮さを見せる 「No.525300887039」 や、荒々しく痛快にドライブする 「Mr. Downer」 「ホワイト製薬」 など、前半にはヘヴィに歪んだギターを筆頭にバンドサウンドの強さをアピールする攻撃曲がズラリ。これは胸キュン青春ポップスといった前作のイメージを自らかなぐり捨てるかのような、変化に伴う痛々しさも孕んだステートメント。今回のヴォーカリストこゑだはアニメ声優的 Kawaii ハイトーンがありつつ挑発的に上擦ったりと今回のロックスタイルにフィットする歌い手。特に前半の緊張感ある楽曲の畳み掛けは彼女でなければ成り立たなかったでしょう。しかしながら後半には対照的に風通しの良くなったポップ曲が並んでおり、俺はその中の 「告白」 に最も惹かれていたのでした。そもそも 「君の知らない物語」 「さよならメモリーズ」 などのハートフルな恋愛群像を描いた楽曲に胸をグサグサ抉られていた自分としては、その辺の痛痒さをもっとくれよ!と思ってしまう。あと 「従属人間」 「拍手喝采歌合」 なんかはいかにもニコ動ボカロ出身といった過剰さにほっこりしたり。

Rating: 6.3/10