Rodrigo Y Gabriela 「9 Dead Alive」

9 Dead Alive

9 Dead Alive

メキシコ出身の男女デュオによる、単独名義としては約4年半ぶりとなる3作目。


歯切れ良いストロークやスリリングな速弾き、またボディを打ち鳴らしてうねるようなグルーヴを作る超絶ギターテクニックはやはり健在。しかしながらこれまでは血を沸騰させるほどのパッショネイトな勢いが目立っていたのに対し、今作はボサノヴァの流麗さを重視した趣で、全体的に落ち着いた作風となっています。穏やかに爪弾くアルペジオは哀愁や寂寥、あるいは淫靡な妖しさをそこはかとなく醸し出し、とてもムーディで品のある仕上がり。アッパーなキラーチューンが幅を利かせていた前作とは対照的な方向性で、そこには彼らの表現する世界観をより拡張しようとする狙いがあるのでしょう。また前作はジミヘンやサンタナに曲が捧げられいてたのが、今回の献呈先はドストエフスキーなどの小説家や哲学者などとのことで、その辺にも彼らの狙いを読み解くヒントがあるかもしれません。明らかに地味になってるので取っ掛かりは悪いと思いますが、例えば 「Sunday Neurosis」 や 「Megalopolis」 のような叙情的な美しさ、侘しさが特に際立った楽曲を展開されたら肯かざるを得ない。前はビールが合ったけど今回はウィスキーだな (飲めない) 。

Rating: 7.7/10