Spangle call Lilli line 「ghost is dead」

ghost is dead

ghost is dead

1998年結成の3人組による、約5年半ぶり9作目。


今まで名前だけは知っていながらずっと捕捉できずにいた SCLL 。今作を聴くに当たって過去のアルバムも掻い摘んで聴いてみましたが、今回は今までの彼らを構成する諸要素をシンプルにブラッシュアップしてきたのかなと。音響派ポストロック/エレクトロニカから影響を受けた立体的サウンドスケープ、その音の隙間に溶け込むように大坪加奈のか細い歌声が揺れる。アレンジ面は余計な装飾をなるべく削ぎ落とし、しかし単純な聴きやすさだけではなくあえて異物感を残した取っ掛かりも端々に配置され、細部までの入念な練り込みが感じられます。以前はインテリジェントな音響実験の中にポップ要素をパラパラ塗すといった感覚だったり、逆にポップさを大胆に増加したりと様々なバランスを試行してきたのだと思いますが、ここではポップさの方が中心の軸としてありつつ、配分としてはほぼ半々。メロディの涼やかな切なさに浸るも良し、音作りの妙技に唸るも良しという風に、多角的な聴き方がしやすい絶妙なライン。各曲の粒立ちが揃えられて全体の纏まりも良く、職人技のクオリティですね。彼らが未だ多方面からリスペクトを受ける理由がよく分かりました。

Rating: 8.0/10



Spangle call Lilli line 「escort & landing」(Official Music Video)