Nothing「Tired of Tomorrow」
- アーティスト: Nothing
- 出版社/メーカー: Relapse
- 発売日: 2016/05/13
- メディア: CD
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話によるとメンバーが元々パンク/ハードコア畑の出自ということで、現在でも方々にケンカを吹っ掛けたり何かと問題行動の目に余るバンドらしく、それが何故こんなジェントルな音を出すのか不可解でしょうがない。90年代シューゲイザー/ドリームポップとオルタナティブロックの折衷といったところのギターサウンドで、ザックリとした荒々しい厚みと心地良い浮遊感が綺麗に融和し、ひどく開放的でダイナミック、なおかつ繊細なニュアンスも感じられるという、90年代至上主義者にとってはもう痒い所に手が届きまくりの音楽性ではないかと。ただこの暖かなサウンドから彼らが今作ですっかり改心してるのかと思いきや、どうやらそうでもないようで。残念ながら歌詞は不明なのですが「明日にはもううんざりだ」というアルバム表題、また不穏な楽曲名からも優しげな表層の裏では失望や諦観など、負の感情のダダ漏れが察せられて、どうにも油断ならない。純粋に楽曲としては程良い疾走感の「Vertigo Flowers」、特にテクスチャーの緻密さが光る「Nineteen Ninety Heaven」など佳曲は多いけれど、裏側に妙な血腥さを嗅ぎ取ってしまうのは勘繰りすぎでしょうか。
Rating: 7.3/10