MINAKEKKE「TINGLES」

- アーティスト: MINAKEKKE
- 出版社/メーカー: スザクミュージック
- 発売日: 2017/04/26
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
そもそもはアコースティックギター弾き語りのスタイルから出発したとのことですが、このデビュー作ではそのフォーク要素を飲み込むようにして、ゴシック/ダークウェーブ、シューゲイザー、あるいはポストロックの素養を感じさせる空間的ギター/シンセサウンドが目一杯に充満しています。深い眠りの中でこの世ならざる世界を夢見るような浮遊感があり、その心地良さの裏側にはふとした瞬間に全てが崩れ落ちてしまう、そんな不穏で繊細な感覚が常に棚引く。美しさと同時にある種の危うさを孕んだ、ディープな世界観を構築しています。日本でゴシックとなるとメタリックな攻撃性、あるいはバキバキのエレクトロに向かうパターンが多い中で、実験的アプローチを盛り込みつつもあくまでフォークに立ち位置を置いた彼女のような音楽性は意外と珍しいものかも。ただ海外のこの手のアクト、例えば Chelsea Wolfe や Marissa Nadler などと比較するといささか惹き込む磁力に欠ける気がする。おそらくは何処となく川瀬智子を彷彿とさせる、気怠げでピッチの甘いヴォーカルが原因だと思うのですけどね。ゴシックならではの迫力という点ではやや爪が甘い感。
Rating: 6.3/10