北出菜奈「VIOLET BLAZE」

VIOLET BLAZE

VIOLET BLAZE

ソロとしては約8年ぶりとなる4作目。


昨年に彼女の所属していた THE TEENAGE KISSERS が活動停止し、次なる手として打ってきたのはシンセポップ。かつてのロック/オルタナティブ志向、挑発的でスパイキーなスタイルからは距離を置き、昨今のメインストリームへの目配せとも言えるスタイリッシュな音像へと変貌。品のある落ち着きと確かなダンスグルーヴを携えた、新たな方向性を全面的に提示しています。これは以前のバンドはもちろんのこと、それより前のソロ時代と比較しても明らかに別種のもの。しかしながらこれまでのキャリアをすっかり黒歴史として葬ってしまってるわけではなく、澄んだ声質の中に見せる仄かにセクシーで艶やかな感触だったり、そこはかとなくミステリアスな雰囲気を醸し出す彼女のヴォーカルは、一度ゴシックの世界観へと身を寄せたからこそ生まれ得るものではないかと。これが二度目のデビュー作だと言わんばかりに全編とても瑞々しさに満ちており、「Canary」や「Shine Drops」などは特に暖かな陽の光を感じさせますが、そこにも耽美的な意識は密かに通底してる。アルバム表題が表すような静けさと美しさ、そして火傷しそうな熱さも内に秘められた11曲。

Rating: 7.7/10



北出菜奈 NANA KITADE - Make-Believe