Juana Molina「Halo」
- アーティスト: Juana Molina ファナモリーナ
- 出版社/メーカー: Hostess
- 発売日: 2017/04/27
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (1件) を見る
彼女のインタビューを読んだところ、どうやら作品毎の具体的なコンセプトというのは特にないらしく、前作とは違ったテイストにしようというくらいのもので、あとは即興的に作られたフレーズを意の赴くままに組み合わせていくのだと。前作「Wed 21」では割とダンサブルな楽曲が多かったように思うのですが、今作はもっとアンビエントあるいはトイトロニカ的な、よりアート寄りで自由度の高い方向性へとシフトしています。さり気ないギターの音色やリズムサンプル、それらレイヤーの反復が少しずつ足し引きされながら独自の音響空間を組み立てていく。エレクトロニカでありながら生音の感触が大きいのもミソなのかも。サウンドの重層が水のように身体に浸潤しながら、ここぞという所での展開の切り替えが良い意味での違和感を残し、聴き手の意識をズブズブと吸い込んでいく。緻密な計算と言うよりも、本能的な心地良さを優先させていたらこういう構成になったというような、極めて自然な手つき。そしてあくまでもポップな表情。特に「Cosoco」「Estalacticas」などでの無邪気とも言える奔放さよ。彼女の才気はまるで枯れる様子がありません。
Rating: 7.9/10