呂布カルマ 「SUPERSALT」

SUPERSALT

SUPERSALT

名古屋出身のラッパーによる、4年ぶり5作目。


元々呂布カルマというラッパーはどうにも食えないというか、ラップバトルにおけるスタイル、胡散臭い風貌、または Twitter でのキャラクターなどを加味しても、どうにも掴み所のない存在だという印象がありました。それで自分はこの新譜で初めて彼のオリジナル作に触れたのですが、聴いていて全貌を掴むどころか余計に彼が分からなくなった気がします。トリップホップアブストラクト・ヒップホップの影響が強いと思われる陰鬱でヘヴィな空気感が全編を支配し、神経質なビートやノイズ混じりのサンプルの奥に彼のラップは引っ込みがちになりながら、淡々と一定のテンションで全く目の笑っていないジョークと真摯な本音を交差させる。その様子は外部に対して毒を鋭く差しまくりながら、徹底して内省的なようにも見える。場面によってはインダストリアル、あるいはロック的な要素も垣間見えたり、おそらくヒップホップ以外にも多くの素養があるからこそ、この混沌としたオルタナティブな感覚が生まれているのだと思います。表題の「SUPERSALT」とは「超塩対応」、詰まる所これが彼流のハードコアということでしょう。

Rating: 7.2/10



[PV] 呂布カルマ - white heaven