COALTAR OF THE DEEPERS 「RABBIT EP」

RABBIT EP

RABBIT EP

7年ぶりのリリースとなる EP 作。


シューゲイザーを筆頭に、オルタナティブやメタルなど種々の要素を混ぜ込んだギターサウンドこそが COTD の一番の特徴かと思いますが、この新作ではほとんどシューゲイザーに特化。不協和音を含んだ複雑なディストーションの中に暖かみや美しさを湛えた音作りは、(おそらく)日本最古のシューゲイザーバンドとしての矜持、あるいは余裕すら感じるもの。しかしながら単純な90年代リバイバルには終わらず、ギター以外の面においては様々な試みがなされています。「HALLUCINATION '18」では敢えてのチープさを狙ってか Kraftwerk 風味の4つ打ちシンセポップが、「SUMMER GAZER '92」では表題そのままのリゾート感に満ちたラテンハウスが導入されており、いずれもギターの醸し出す幻惑的な浮遊感に絶妙にマッチ。王道から少しのズラしを見せるこのユーモラスなセンスも NARASAKI 独特のものと言えるだろうし、すでに手法が定まりきったように見えるジャンルでも、やりようによってはまだまだ新しい風を吹き込むことが出来るという、ある種のメッセージも裏側に透けて見える。これが長い間ご無沙汰のアルバムへの布石となるのだろうか。

Rating: 8.0/10



COALTAR OF THE DEEPERS - SUMMER GAZER '92 (Official MV)