James Blake 「Assume Form」

Assume Form

Assume Form

ロンドン出身のシンガーソングライターによる、2年8ヶ月ぶり4作目。


多くのシンガーやラッパーの客演、またトラックメイキングにおいても外部プロデューサーとのコラボレートが目立つ今作。前作「The Colour in Anything」では彼の内的世界をとことんまで深化/膨張させていたのが、今回は対照的に外部からの風を取り入れてオープンな姿勢を目指したということですね。ただ定型的なトラップビートの導入などで今の時代に則した受け入れやすさは生まれた反面、過去の作品に見られたビート構築の先鋭性、実験性というのは幾分か失われたように見えます。しかしながらそれはきっとこの作品においては大きな問題ではなく、むしろビートよりも歌の方に重きを置いたが故の判断なのでしょう、その歌の面においてはさりげなくも確かな変化が見られます。以前はナイーブな哀愁や喪失感を色濃く滲ませていたのが、ここでの彼はそんな心の隙間を埋めてくれるパートナーの存在、そのかけがえのない暖かさを感じさせる場面が多く、相変わらず繊細ではあるものの、これまでのような内向きではない安寧の心地良さを纏って心にスッと馴染んでくる。ゴシップ的な話を詮索するのは完全な野暮ではありますが、ある種誠実な変化ですよね。

Rating: 7.7/10



James Blake - Don't Miss It