LITE 「Multiple」

Multiple

Multiple

2003年結成の4人組による、約2年半ぶり6作目。


Cubic から Multiple へ、つまりバンドの持つポテンシャルをより多面的、多角的に表現するという意気込みの表れなのだろうと思いますが、確かに今作にはこれまでの道程を踏まえた、LITE らしいと言える音楽要素が余すことなく綺麗にパッケージされています。奇数拍子連発のテクニカルなフレーズが徐々にドラマチックな色味を帯び、極めてスマートに熱量を高めていくマスロックサウンド。今作ではそこに新機軸として、エレクトロニックな音作りでトラップをやりつつギターだけスカをやるという怪現象の「Brizzard」、同じくトラップを基盤とした演奏にゲストラッパー参加で本当にヒップホップと化した「Ring」のような目玉もあり、曲調は幅広い。ただその幅広さをそのまま派手に打ち出すことなく、余計な音が削ぎ落されたタイトなアレンジや、高度なテクニックを涼やかに聴かせる肩の力の抜けたプレイで、全体としてはむしろコンパクトに纏まっているという印象があります。結成15周年を経てもなお自然体、ソツ無く平常心で自分達の表現に徹するという姿勢、この燻し銀の味わいこそいかにも LITE らしいという感じですね。

Rating: 7.3/10



LITE - "Blizzard"