あらかじめ決められた恋人たちへ 「DOCUMENT」

DOCUMENT

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2年4ヶ月ぶりとなる6作目。


それまでピアニカの音色を基調として湿っぽく憂鬱なダブ/レゲエを鳴らしていたのが、前作 「CALLING」 ではアッパーな4つ打ちトランス、静と動を極端に行き来するポストロック的ダイナミズムを取り入れるといった風に、その方向性をガラッと変えて見せたあら恋。今作ではその路線をさらに推し進めており、全体的に音の強度が高められ、ますますアグレッシブに世界観を拡張する攻めの姿勢を貫いています。微妙に昨今の EDM /ダブステップを思わせる 「カナタ」 に始まり、目映いキラメキを散りばめた疾走感に魅了される 「Res」 、ポストレゲエとでも言うべき開放的で心地良いサウンドスケープが広がる13分超の大曲 「ヘヴン」 、その 「ヘヴン」 を陽とするならこちらは陰だと言わんばかりのヘヴィな緊張感が張り詰めた 「クロ」 、そして全てを浄化するかのような清らかさで満ち溢れた 「Fly」 など8曲。今回は 「旅立ち」 がテーマと言うことで、門出に立つ瞬間の高揚、不安、感傷といったエモーションがアルバム通して実に豊かに表現されています。ピアニカの叙情的でノスタルジックな音色と、レゲエの弛緩したピースフルなグルーヴ。そこから無限大に世界は広がる。

Rating: 8.2/10