スカート 「トワイライト」

東京出身、澤部渡を中心とするバンドの1年8ヶ月ぶり7作目。


聴き終えた後「え、もう終わり?」と思わず声が出てしまった。ボリューム的には11曲39分とこれまでの作品とそう大きく変わりはしませんが、おそらく味付けが一層シンプルになり、どの曲もさらさらと澱みない流れで進行していくからだと思います。流麗なストリングスを迎えた「遠い春」を筆頭に、ピアノやパーカッションを適材適所に据える、といった装飾もあるにはあります。ただそこで過剰に向かうのではなく、あくまでもフォーキーな朗らかさ、素朴かつ上品なタッチといった元来の魅力を失わないように、といった細やかな気配りがどの曲にも感じられる。またメロディやコード進行を取ってみても、感情の微細な揺れを表現するようにして複雑な響きの和音が多用されており、聴けば聴くほどに味が増してくるような仕上がり。全編通してテンションがほぼ一定なので先述の通り随分ツルッとした聴き心地で、まあ確実に地味ではあるのですが、それこそ架空の漫画の一コマを切り取ったというアートワークが示す通り、何気ない景色の中にこそ貴重な何かが潜んでいる、というある種の「気づき」を与える作品、かもしれません。

Rating: 6.8/10



スカート / ずっとつづく【OFFICIAL MUSIC VIDEO】