A WHISPER IN THE NOISE 「dry land」

Dry Land (Dig)

Dry Land (Dig)

「As the Bluebird Sings」 から1年半ぶりの3作目。意外にペース速いですね。


通常のバンドサウンド+ストリングス、ピアノという編成は同じですが、今回は音数/抑揚ともに控え目になり、全体的にシンプルになってます。前作はシアトリカルな装飾が随所に仕掛けられており、そのせいかポストロック/エレクトロニカ的な印象があったんですが、今回はむしろ純粋なインディーロック、またはスロウコアの領域かも。まージャンルが何であれ、彼らが表現してる世界自体にブレはないです。切なくはあっても浮ついたロマンチシズムとは無縁な、闇よりも暗い闇 (と一筋の幽かな光) で覆われた真性ゴシック世界。前半はシンプルなアレンジのため比較的風通しが良く、そのぶんスケール感が広がってるように思います。 「呪われた廃洋館に閉じ込められて一人」 から 「何もない荒野に置き去りにされて一人」 に変わった感じで。しかし中盤 「Sons」 「Armament」 では心の痛みをそのままブチ撒いたような薄汚いギターノイズを叩きつけられ、重苦しい空気が一気に圧し掛かる。そして直後の 「You, The Orphan」 では悪夢から覚めたように流麗なピアノが鳴り響く、この流れは間違いなく今回のハイライト。思わず固唾を飲んでしまう程の緊張感に唸らされます。前作よりもさらにストイック、地味になってるので最初は捉え所がなくて戸惑いますが、聴く程にその瘴気が身体に回り、だんだん中毒になってくるという。歪んだ美しさを堪能できます。


Rating: 8.8/10
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