DIR EN GREY 「TOUR09 FEAST OF V SENSES -MALE only-」 @ 松下IMPホール


今年2回目のライブは DIR EN GREY 。昨年の 「UROBOROS」 が良い感じだったのと、男限定という縛りが面白そうだったので行ってきました。


個人的にディルのライブ行くのって確か 「VULGAR」 のツアー以来だから、もう5〜6年前にもなりますね…。その頃から今までバンドが続いてるのもちょっとした奇跡だし、未だに俺がディルを聴き続けてるのもどうなんだか。最近のライブがどうなってるかは分からないんですけど、前行った時は客の8割方が女子、しかもそのうち半分以上はゴス/ロリ/メンバーコスなどこの世ならざる装いをされた方々ばっかりで、普段着でプラーっと行った俺の方が逆に浮いてしまうという状況でして、ライブ始まるまで無意味にアイデンティティクライシスに苛まれたものでしたが、今回の男限定ライブは…Tシャツにタオル巻いたラフな格好の人ばっかり!浮いてない!俺はここにいてもいいんだ!良かったー。挙動不審になることもなくリラックスして開演を待つことができました。


そんで会場の松下IMPホール。初めてのハコだったんですが出来たの割と最近なのかな。大きなオフィスビルに隣接してる小奇麗な会場で、少なくともキャパ1000以上はあるはず。なのだけど、意外にあんまり人埋まってないね…。多分7割くらいの入りで後ろの方は結構スカスカ。通常のライブならなんば Hatch 連日でも十分に埋まってるはずなので、やっぱり今も女子がファンの大半を占めてるんだろうね…。まー移動しやすいし見やすいから良いっちゃ良いんだけど。開演前は MTV の DJ がゲストで来てるらしく、リンキンとかリンプとかスリップとか、あと AA= もかかってたな。とりあえずその辺の分かりやすい所で客を暖めてました。 DJ に煽られてもあんまりレスポンス出来ないけどね…。未だにこの DJ の選曲で盛り上がるというスタイルがピンとこない俺なのでした。だって別にテメーの曲じゃねえじゃん (えー) 。


DJ が終わって程なくすると 「SA BIR」 が流れ、空気をビリビリ震わすほどの低音が響く中メンバー登場。この日は特別なセットや演出はないシンプルなステージ、メンバーもジャージ着てたりと純粋なライブ仕様。そして1曲目 「VINUSHKA」 。もうこの時点で客のテンションが凄い、というか 「VINUSHKA」 の前半なんてそこまで暴れる感じでもないだろうよ…誰だスポーツドリンク撒いたやつ!アホか!撒くなら水にしろ!そして次が 「RED SOIL」 。アルバムと同じ流れかよ…とか些細なことばっかり気になって最初はあまりテンション上がらなかったんですけど俺の器が小さいんですかね。でも次の 「AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS」 からは音が身体に響いてきたので、頑張ってモッシュに加わってました。ディルのライブってダイブ/モッシュ原則禁止でやったら即退場になるらしいですが、こんだけモッシュ起こりまくりだとさすがに措置取る気にもなりませんわな (ダイブは本当に退場させられたらしいけど) 。アグレッシブな曲では常にモッシュやヘドバンの嵐で、さすが男限定の血気盛んな荒々しい様相となってました。


それで肝心の演奏。シングルのカップリングに入ってるライブ音源を聴いた限りでは、声が全然出てないとか演奏がバラつきがちとか正直あまり良いイメージを抱けなかったのですが、実際の現場では爆音の迫力もあってさほど気にならなかったです。ドラムが少し軽い気もしたけど、ヴォーカルはデス声やシャウトもキメる所でしっかりキメてたし。俺がモッシュに忙しくてちゃんと曲を聴いてないってのもありますが (笑) 、とりあえず暴れるには十分ヘヴィで勢いの感じられる演奏でした。 「STUCK MAN」 「GRIEF」 の禍々しさとバウンシーなノリ、 「冷血なりせば」 「CLEVER SLEAZOID」 の直線的に突っ切るアグレッションにはガツンと身体を突き上げられた。中盤のスロウ曲が並ぶパートでは残響処理を強くかけて経文のような語りを交え、チューニングの間でもダークな緊張感を切らせずに進行するという、このバンドらしい試みもあり。その辺だと波が静かに揺らめくようなメロウさの 「INCONVENIENT IDEAL」 が特に良かったですね。


そーしーてー、アンコールがまたエラいことに。 「G.D.S」 で仕切り直し、 「CHILD PREY」 「朔 -saku-」 といった比較的最近の曲は予測してたけど、まず飛び出したのが 「羅刹国」 。予想外すぎて最初何の曲か分からなかった (笑) 。でも元々バキバキのメタル曲だし今演奏しても全く違和感なかったですね。その 「羅刹国」 でも十分度肝を抜かれたんですが、最後がね…突然高速2ビートで疾走しだして何事かと思ったら、まさかの 「残 -ZAN-」 発動。例えれば Radiohead でいう 「Creep」 みたいなもんです。もう生では絶対聴けないと思ってた。演ってる本人達的には完全にファンサービスだとは思うんですが、確かにこれ以上のサービスなんて無い。最早10年前、俺が初めてディルを知った頃の曲なもので、もう懐かしいやら激しいやらで脳内は完全に思考停止。揉みくちゃになりながら 「PASTRAP!!」 って何回も叫びました。たくさん叫びました。


そんな感じで体力使い切ってヘトヘトになった所で全編終了。ずっと前の方で見てたのであまり音全体を把握できなかったし、このバンドが海外のガチムチメタル勢と張り合える音なのかはまだ判断しかねますが、少なくとも従来のファン相手には確実に盛り上がるライブは演ってるはずだし、実際俺は十分楽しめたので、その健在っぷりを確認できただけでも良かったです。次は派手な演出つきのライブも見てみたいなー。


あやふやなセットリスト↓
1. SA BIR
2. VINUSHKA
3. RED SOIL
4. AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS
5. STUCK MAN
6. GRIEF
7. 慟哭と去りぬ
8. DOZING GREEN
9. 我、闇とて…
10. 蜷局
11. GLASS SKIN
12. INCONVENIENT IDEAL
13. HYDRA 666
14. BUGABOO
15. REPETITION OF HATRED
16. 冷血なりせば
17. CLEVER SLEAZOID
(アンコール)
18. G.D.S
19. CHILD PREY
20. 凱歌、沈黙が眠る頃
21. 朔 -saku-
22. 羅刹国
23. 残 -ZAN-