James Blackshaw 「The Glass Bead Game」

Glass Bead Game

Glass Bead Game

ロンドン出身のギタリストによる約1年ぶりの新作。タイトルはヘルマン・ヘッセの小説より。


5曲50分。前作も大概でしたけど今回さらに玄人向けというか、敷居の高い内容になってます。12弦アコースティックギターもしくはピアノの幽玄な響きは相変わらずのディープな味を発揮していますが、大陸的なスケールが増して比較的 (あくまで比較的) 風通しが良くなった反面、曲の構成はさらにアブストラクトになり、ミニマルな反復によって陶酔感を醸すことへと一心に力を注いだような作りに。ヴァイオリンなどの弦楽隊や環境音的ノイズ、また新しい試みとしてコーラス隊も導入されていたりしますが、そういった装飾が必要以上にフィーチャーされることはなく、ギター/ピアノの音色と同化して空間的な奥行きを押し広げる、もしくは曲の密度を高めるための素材の一つとして使われてる。その職人気質とも言える程のポリシーに貫かれたサウンドは確実に聴く人を選びますが、そのぶん照準が合った時の求心力は凄まじいのも確かです。 「Cross」 「Bled」 「Fix」 「Key」 「Arc」 とさらに抽象的になったタイトル群も一層イマジネーションをかき立てる。特に最後の 「Arc」 は奇跡のような美しさ。気長に付き合いたい作品ですね。


Rating: 8.4/10
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