ALCEST 「ÉCAILLES DE LUNE」

Ecailles De Lune

Ecailles De Lune

フランス出身、 Neige によるソロユニットの2年半ぶり2作目。初めて聴きました。


アルバムタイトルの意は 「月の鱗」 。まずそのジャケット含め、ロマンチックな美意識の現れたモチーフにハッとさせられる。 「月」 というイメージには闇をひっそりと照らす優しさ、繊細な美しさと同時に孤立した虚無感があり、時には気を触れさせる魔性の象徴としても用いられますよね。そのイメージはここで鳴らされている音にそのまま直結しています。そもそもはデス/ブラックメタル出身の方らしいですが、ここではブラックの残虐的アグレッションも音楽要素の一部。本作ではさらに Sigur Rós や Mogwai に代表される轟音系ポストロックの広がりがあり、また深く柔らかなクリーントーンの響きはシューゲイザーからの影響も強く感じる。ギターにまつわる様々な要素が消化/吸収された、高密度なテクスチャーの重層で構築されたサウンドはひどく荘厳で幻惑的。ヴォーカルも地の底から噴出するようなデスヴォイスと、儚く澄んだ透明感のある歌声を場面によって使い分け、その音世界を一層ディープなものにしています。2部構成で約20分にも渡る表題曲を筆頭に、ギターサウンドの奔流が全ての悲しみを飲みこんで開放に向かう様はただただ圧巻。


Rating: 8.0/10
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