FUJI ROCK FESTIVAL '11 1日目


フジロックの季節がやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!




マジ雨ドイヒー。


毎年言っていることですが、今年は本当に雨が酷かった。よりによってフジロック当日、新潟・長野付近に渡って大雨洪水警報が発令されるという運の無さ。この3日間の間、晴れてる時間は本当に一瞬しかありませんでした。事前に予報はチェックしてたので雨対策、防寒対策は念を入れてはいましたが…どれだけの雨男雨女が集まったんだ今年のフジは。とりあえずこの雨とか泥を受け入れる、 「もうどんだけ汚れてもいーや」 と脳内をシフトするところから今年のフジスタートです。


毛皮のマリーズ @ WHITE STAGE
同時間帯の NATSUMEN も見たかったけど、極力歩きたくないという思いからマリーズ。全員お揃いの勝負衣装、軍服で登場!こないだの新譜 「ティン・パン・アレイ」 はライブ向けの作品ではないということで、基本的に旧譜からのナンバーが主。このバンドはやはりバンマス・志磨遼平のパフォーマンスに目が行く。足を高く蹴り上げ、華麗にターンを決め、マイクをブンブン振り回し、惜しみない投げキス。グラマラスでパワフルで、時にファニーという。衝動のガレージロックンロールと言うよりは、一挙手一投足に至るまで彼の美学が表れたエンターテインメントロックショウという感じ。一見メチャクチャやってるようでも、その裏ではロックを客観的に見つめて構築したような、ある種知的な印象を受けます。間には 「Heart of Gold」 という新曲も披露しておりましたが、これがまたポジティブで泣ける良い曲なのだな。悪天候と朝一番という条件の悪さはありましたが、ロックンロールの王道というものを敢えてこそ踏襲する、非常に彼ららしいと言える演奏でした。


THE VACCINES @ GREEN STAGE
ぶらりとグリーンに立ち寄り、ロンドン出身の若者4人組へ。デビュー前から NME の表紙を飾ったとかで話題ですが、うーむやっぱ俺こういう正統派 UK ロックって基本的に好みじゃないな…。どっちかと言うと直線的な勢い重視、たまにサイケな装飾もあったりするけど、結局のところ一番の魅力がよくわからなかった。


THE PAINS OF BEING PURE AT HEART @ RED MARQUEE
お次はニューヨークの若者たち。ライブではサポート加えた5人編成で、やはり思わず笑ってしまうほどのキラキラ甘酸っぱいシューゲイザーギターポップ。ドリーミーな浮遊感がありつつ、ガレージ的な疾走感の方が基盤にある感じ。やはり単純にメロディの良さが光るな彼らは。 「Heart in Your Heartbreak」 などは特にキラーチューンという感じで会場も盛り上がってた。しかし本当に彼らは 「青春!」 という言葉が似合う感じの、他のシューゲバンドよりも特にそのファクターを前面に押し出していて、途中で篩にかけられそうな気がしなくもない (笑) 。



再度グリーン、今度は前方に突っ込んで見る。


MANU CHAO LA VENTURA @ GREEN STAGE
本日の頑張りどころ。スペイン系フランス人であり、政治活動にも積極的という流浪の音楽家。今回は4人組のバンド編成で登場。本人はジプシー風の出で立ちでアコギ一本抱えて歌うのですが、他の3人は腕っぷしの強いガチのロック/パンク畑の方々。


そう、パンクバンドでございます。2ビートの直球パンクとレゲエが同列に置かれ、両者を巧みにスイッチしながら煽ってくるという形。俺は Bad Brains や Gogol Bordello なんかを想起しましたが、ラテン色の濃さとスタイルのシンプルさが彼らの特徴でしょうか。もうホント、レゲエとパンクの二通りしかないの (笑) 。最初レゲエのリズムでユルく始まって、そこから徐々にディストーションが噛んできて、ビートが入れば一気にモッシュスタート!とっても分かりやすくてノリやすい、ロックフェスにおいて逆境に負けない鉄板の盛り上がりを見せるであろうジプシーパンク。 Manu Chao は予想よりも小柄な体つきながら、威勢良く飛び跳ねてはアコギを銃のように振り回し、マイクを左の胸に叩き付けてリズムを鳴らすなど、とても50歳とは思えないパワフルなパフォーマンス。その心身を削るような真摯さ、それでいて楽しさ最優先の演奏で前列はわやくちゃのお祭り騒ぎ。俺も今年のフジ初のモッシュ参加でキャッキャしてました。満足。



休憩。ずっと雨降りっぱなしだけど何食うべか…。


ARCTIC MONKEYS @ GREEN STAGE
休憩してからまたもグリーンへ。こないだの新譜もなかなか良かった北極猿。個人的に見るのは2006年のサマソニ以来で、その時も割と手応えのあるライブだったんですけども、今回はどうかしら。


おそらく彼ら自身のスタンスはバンドを始めた時、小さなライブハウスを周ってる時から現在まで変わってないのだと思います。タイトな革ジャンに身を包み、淡々とクールに曲を連発する、それ以上には特別何もない。しかしそれとは矛盾するようですが、スタジアムバンドらしい風格のようなものも彼らに備わってきてるように感じました。アレックスの不敵な笑みやマットのスティック投げる遊びなど、彼らは大舞台でもまるで緊張せず、むしろ余裕を持って楽しんでいる様子。スタンスを変えず、規模のみを大きくしたような感覚。それは彼らが自分の足元を見失わず、確かな歩みを見せてるということでもある。ステージ後ろに多く設置された照明がメンバーを黒く染め、その独特のオーラを助長してるかのようでした。


もちろん内容の方も充実。 「Brainstorm」 や 「I Bet You Look Good on the Dancefloor」 などのアッパー曲が鉄板で盛り上がるのは当然のこと、新作で打ち出したレイドバック気味のハードロック路線、またオールディーズに通じるメロウ路線がレパートリーの幅を順当に広げ、全体に一層豊かな起伏が生まれていました。過去と現在の楽曲をバランス良く織り交ぜ、中身の濃さを煮詰めて見せられるという意味では、彼らの旬は現在進行形で続いているのだなと。ナチュラルに、着実に進化を遂げ、これからにも期待を持たせてくれるパフォーマンスでした。


THE SISTERS OF MERCY @ RED MARQUEE
Andrew Eldritch を中心とするゴシック/ポジティブパンクの大御所。俺は名前は知ってたけども実際に聴いたことはありませんでした。今年で結成30周年、しかも今回が初来日とのことで、彼らも一部の人にとっては大きな目玉だったでしょう。



これ開演直前の様子なんですが、うむーフジロックでここまで過疎なのは珍しい…そもそもフジロッカーとゴシックってあまり共通点ないような気がしてたんですが、その予感が的中してしまったか。


定刻になるとフロントに Andrew 御大とギタリストが2人フロントに並び、盛大に逆光を浴びながらスタート。楽曲はもう、これぞゴシック・ニューウェーブ!という感じ。軽い質感のエレクトリック・ボディビートに幻惑的なクリーントーン、あるいはソリッドなヘヴィギターが絡んでタイトに迫る。ダークウェーブからインダストリアル・メタルまで内包するそのサウンドは疑いようもなく 80's 。今の時代にこんな音を、一切スタイルを曲げることなく貫徹するのは時代に迎合しないという矜持の表れか。俺は元々こういう音が大好物だから楽しめるけど、周りの盛り上がらなさったら失礼ながら笑ってしまうくらい。いやもう彼らはコレでいいのだ。他人が理解できない、自己ならではの表現を目指す精神こそがニューウェーブなのだから。多分。


しかし Andrew 御大、逆光照明や目一杯のスモークによるゴス的演出の中で真っ白パーカーという非ゴスにもほどあるラフな衣装はどうにかならんかったのか…。両サイドの二人は黒基調でビシッとキメてるのに。また Andrew 御大タバコを吸いに歌いながら度々ステージ袖に引っ込んだり出てきたりと、リラックスというかあまりやる気がなさそうというか…。もちろん力強いシャウトをカマすところではカマしてくれるんですが、この悪い意味での大御所っぷりも一見さんを篩にかける一因になってしまってる気が。もうやりたいようにやったら良いのか。色々な意味で楽しいアクトでした。


この後も見てみたいバンドはあったんだけど、すでに足腰が限界に…。大人しく宿に帰って明日に備えます。