GOATBED 「『』 Ying & Yang」

ying&yang (TYPE A)

ying&yang (TYPE A)

フルレンスとしては6年8ヶ月ぶりとなる6作目。


かつては80年代においてカッティングエッジとされていたシンセポップを現代風に再構築、というのがこのバンドのキモとなる要素でしたが、実質的に石井秀仁のソロユニットと化したこの復活作では随分と様相が異なっています。昨年の 「HELLBLAU」 でもその片鱗は見せていましたが、90年代のミニマル/ハード/アシッドな純正テクノサウンドであったり、初期 Aphex Twin を彷彿とさせる前衛的アンビエントへとシフト。良い意味で軽薄でキャッチーだった過去とは違い、低熱に抑えられた無機質なムードと、スタイリッシュに磨き上げられたシャープな音像。4つ打ちを軸としつつ予測のつかない入り組んだ曲構成で、石井秀仁のヴォーカルは他のテクノサウンドと同列の素材としての扱い。しかしこれはこれで非常に格好良い。「LIGHTNING THUNDERBOLT」や「THIS IMMORTAL」「COSMOCALL FIELD」など、硬い鳴りでヒットするダンスグルーヴの心地良さは非常にクール。彼特有のポップネスは今までに比べるとかなり抑え目ですが、ここぞという所で顔を出すスパイス的な役目で窓口を広げてると思います。前作での実験が生きた良作。


Rating: 8.3/10