Four Tet 「Morning/Evening」

Morning / Evening

Morning / Evening

1年9ヶ月ぶりとなる8作目。


今回は表題通り 「Morning」 と 「Evening」 の二本立てで、各曲が約20分で構成されるシンプルかつ大胆な内容となっています。ヴォイスサンプルが晴れやかな空へと舞いあがるような心地良い感覚を与える朝サイドと、内省的な深みからインダストリアル風の熱量を帯びていく夜サイド。いずれも近年の Kieran Hebden が回帰しているダンスプロパーな4つ打ちキックと、柔らかな浮遊感を醸し出す環境音楽的アトモスフィアが特徴的。かなりの長尺なだけにいつもよりもミニマルな反復が長く、実験的な側面が強くなってると言えますが、あまり聴き手に集中を強いるような敷居の高さではなく、日常の中に何気なく溶け込む BGM として機能するような、ある種の懐の深さがありますね。情報によると今回は Ableton Live なるソフトシンセのみを使って製作されたとのことで、これはやはり実験精神というよりも肩の力の抜けた遊び心的な感覚の方が強いなと。同時に大袈裟な機材やスタジオがなくとも、今の時代ラップトップ一台があればセンス次第でいくらでも良い曲は作れる、というメッセージも内包されてるかもしれません。まるで一筆書きのような軽み。

Rating: 7.0/10


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