ROTH BART BARON 「ATOM」

ATOM

ATOM

東京出身の2人組による、1年半ぶりフルレンス2作目。


SF 映画から着想を得て制作されたという今作。 Bon Iver などの新世代フォーク、あるいは Arcade Fire のようなインディ・バロックポップから影響を受けた彼らの音楽性からすると、少々意外なコンセプトではあります。ストリングスや管楽器などが効果的に散りばめられ、少しずつ熱を帯びて膨張していくサウンド。それは静謐を湛えながら真摯な力強さに満ち、あまりにも清らかな光を放つ。しかし歌詞にはシニカルな毒がそこかしこに仕掛けられ、ファンタジックな美しさだけでは終わらない人間臭さも滲み出す。伸びやかなメロディで比較的歌詞が聴き取りやすいことからも、彼らがストーリーテリングに最も注力していることが伺えます。ところで三船雅也の柔らかくエモーショナルなヴォーカル。ゴスペルやクラシック・オペラの素養があるのかもしれませんが、自分にはその歌声が飛鳥涼に聴こえる場面が多々あるんですよね。端々から感情が洩れ落ちるように震え、聴き手に真っ向から迫ってくるパワーのある歌。この声でコンセプトが SF というものだから、俺の頭の中では完全に 「On Your Mark」 の映像がグルグルと。うむー。

Rating: 7.5/10



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