Galileo Galilei「Sea and The Darkness」

Sea and The Darkness(初回生産限定盤)(DVD付)

Sea and The Darkness(初回生産限定盤)(DVD付)

2年3ヶ月ぶりとなるフルレンス4作目。


今までのガリレオのイメージを持ったままだと面食らう人は多いのでは。楽曲的にはサイケでファジーな質感のインディロックという主幹は変わっていません。以前よりもアレンジが簡素になり、メロディもこれ見よがしのドラマチシズムは抑えられてますます地味になった印象を受ける。しかし歌詞の面においてはかなり大きく踏み込んだ表現を見せています。「ゴースト」では大切な人の不在にすら慣れてしまう恐怖が歌われ、「ウェンズデイ」では倒錯と死の匂いが強烈に立ち込める。また「ユニーク」の虚無に「青い血」の葛藤、そして「ブルース」で吐き出される言葉は「クソだ このアルバムはクソだ」。全体に蔓延する冷たく残酷とも言える人間臭さ、尾崎雄貴はそれを大袈裟な身振り手振りで捲くし立てはせず、あくまでもリリカルに、まるでひとつの童話のように朗らかなタッチで綴る。牧歌的で優しい曲調はこの冷たさが決して現実離れしたものではなく、何気ない暖かな陽の光と同列に在るということを伝えているかのよう。彼らはこの春を最後におもちゃの車から降りることをアナウンスしていますが、これが更なる深化への前兆だと期待しています。

Rating: 8.2/10



Galileo Galilei 『ウェンズデイ』