Kayo Dot「Plastic House on Base of Sky」

PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY (プラスティック・ハウス・オン・ベイス・オブ・スカイ: +bonus tracks)

PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY (プラスティック・ハウス・オン・ベイス・オブ・スカイ: +bonus tracks)

ボストン出身の4人組による、1年8ヶ月ぶり8作目。


実は先日の来日公演を見に行ってまして、その時は自分の予習不足というのもあったのですが、室内楽×ポストロック×ブラックメタルという腐臭漂う闇鍋の様相を呈していたかつての音楽性、そこからかなり距離のあるプログレ/サイケロックやシンセポップを取り入れた歌モノがメインを占めており、その意外な変容っぷりに随分と当惑させられました。その音楽性こそが今作。エキゾチックな幻想性を湛えたクリーントーンと、妙に気の抜けたエレクトロニクス、そしてこの世ならざる情景へと陶酔しきっている穏やかな歌声。そこには彼らがリスペクトを公言している平沢進の影響も微かに掬い取れる。「同じ方向性のアルバムは二度と作らない」と宣言している彼らではありますが、ここでの変化はまたえらくニッチと言うか、以前とはまた別の意味でドラスティックなもの。ただ歌モノと言っても彼らが真っ当にポップな構成をとるはずもなく、変拍子やレイヤーの重なり、濃密な音響処理でグニャグニャに歪み切ったメロディには、いつ終わるとも知れないシュールな悪夢を見ているような心地にさせられる。本質は変わってないということか。

Rating: 7.3/10



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