Full of Hell「Trumpeting Ecstasy」

TRUMPETING ECSTASY

TRUMPETING ECSTASY

米国メリーランド出身の4人組による、約4年ぶり3作目。


過去の作品ではノイズ/インダストリアルの意匠を各所にこらしていたり、最近でも Merzbow や The Body といった豪傑とのコラボレーションを果たしていただけに、実験志向のバンドだという認識が自分の中ですっかり定着していた FoH 。もちろん今作でもそういった側面はあるのですが、ここではむしろ彼らの基盤にあるグラインドコアの要素を強化し、肉感的なインパクトを第一に受けるストレートな仕上がりになっています。収録曲の多くは2分前後の不意打ちショートチューン。混濁したノイズギターとブラストビート、極めて冷徹なアグレッションのみが矢継ぎ早に襲い掛かる。場面によっては不穏なモノローグを挿入したりブラックメタル的なアプローチを見せたりといった工夫もありつつ、基本は先手必勝の秒殺を狙った、グラインドコアかく在るべしというような内容。ただこのバンドの本質がはっきり表れているのはラスト2曲ではないかと思います。破壊的ノイズの中で亡霊のような女性ヴォーカルが浮かび上がる表題曲「Trumpeting Ecstasy」、そして徐々にサバトの様相を帯びるクローザー「At the Cauldron's Bottom」。ゲップが出るほど悪意もりもり。

Rating: 7.3/10



FULL OF HELL - Trumpeting Ecstasy (Official Video)