The Horrors 「V」

V

V

UK 出身の5人組による、3年4ヶ月ぶり5作目。


インパクトの強いバンド名のイメージにまるで囚われることなく柔軟に音楽性を変化させてきた彼らは、今作でも更なる発展を遂げています。聴いてすぐに連想したのは Depeche Mode 、そして Nine Inch Nails 。上モノにおけるシンセ類の使用は過去にも多くありましたが、今回はリズム面でもエレクトロビートを大幅に導入。これまでの作品で見せていたゴシック、ネオサイケ、シューゲイズといった変遷を踏まえつつ、新たに加わったインダストリアルの無機質な感触は彼らの耽美的でダークな世界観をさらに奥へと拡張しています。確実に身体に打ち付けられるリズムの一打一打、ネットリ纏わりつくようなダウンテンポのグルーヴ、そしてリード曲「Machine」などに顕著なノイズレイヤーにはバンドの持つ野心がありありと透けて見える。ただもっと初期のアグレッシブな側面が復活してるかと予想していたのですが、直接的な攻撃性よりはむしろ徐々に内側から身体を浸食していくような、ドラッギーな中毒性の方が強調されているように感じます。特に終曲「Something to Remember Me By」はロマンチックで繊細なメロディも引き立ち、思わず息を飲むほどの陶酔度に。

Rating: 7.6/10



The Horrors - Machine (Official Video)