serpentwithfeet 「soil」

SOIL

SOIL

米国ボルチモア出身、Josiah Wise によるソロユニットの初フルレンス。


何か今までに見たことのない怪物を目前にした時のような心地がある。それは別に彼の強烈なヴィジュアルだけを指しているわけではなく、実際の音楽を聴いてみても、彼がすでに規格外の存在であるということはひしひしと伝わります。聖歌隊出身というバックボーンをフルに活かしたゴスペル由来の歌声は、底知れないパワーと同時にしなやかな美しさを兼ね備え、それがダークで前衛的なエレクトロニクスと結び合うことで、まるで新種のゴシック・アートとでも言うべき重厚な空気感が生まれています。そこには敬虔な聖性も少なからず感じられるのですが、歌詞に目を向けてみるとむしろ曲調とは真逆を行くくらいに、生々しく泥臭い。この作品で描かれていることの多くは他者への愛情の希求、または自身からの愛情の放出。それも自らの人生全てを捧げ、愛情を与えることが自らに課せられた責務であるというほどに、あまりにも深く痛々しい。例えば Björk や ANOHNI を聴く時と同じ類の衝撃がありつつ、下手すればそれらよりもさらに赤裸々な衝動に駆られ、もはや狂気的なものすら感じる。このエモーションはいったい何をどうすればここまで湧き出すのか。

Rating: 8.5/10



serpentwithfeet - bless ur heart (Official Video)