ムック 「壊れたピアノとリビングデッド」

壊れたピアノとリビングデッド

壊れたピアノとリビングデッド

約2年ぶりのリリースとなるコンセプトアルバム。


そもそもは過去のアウトテイク集を出すというところから始まったのが、「ホラー」「鍵盤」をコンセプトに据えるというアイディアも追加され、期間限定メンバーとしてピアノ/キーボードに吉田トオル氏を迎えて制作されたとのこと。確かにメタリックなヘヴィネス×昭和歌謡風メロディという従来の核を基調としつつ、ジャジーな雰囲気を添えるピアノ、あるいはハモンドオルガンの追加でレトロ趣味を推し進める、といった作り。その狙い自体は理解できるのですが、基本的にはあくまでもバンドサウンドが主役で鍵盤は装飾という、極めてオーソドックスな取り入れ方なだけに正直このコンセプト自体が弱いと言わざるを得ない。これであれば過去の「ニルヴァーナ」や「ENDER ENDER」といったエレクトロ路線の方がよっぽどチャレンジングだったと思うし、またこれは酷な比較かもしれませんが、昨年に cali≠gari が「4」というあまりにも大胆なジャズアルバムを発表した後なだけに、これくらいのピアノの配分だとどうしても普通に聴こえてしまうという。結果的にはポストメタルの領域へと差し掛かった壮大な轟音の「Living Dead」が最も印象的でした。

Rating: 5.5/10



『壊れたピアノとリビングデッド』SPOT①