Boris 「LφVE & EVφL」

Love & Evol [Analog]

Love & Evol [Analog]

2年3ヶ月ぶりとなる25作目。


オリジナルだけでも相当なのに、EP やコラボ、スプリットまで含めると、もはや眩暈がしてくるほどの膨大なディスコグラフィ。しかもアンプ山積みのエクストリームな爆音を主軸としつつ、作品を出すごとにコロコロと趣向を変えてくるものだから、何だか彼らが無限に細胞分裂を繰り返す軟体生物のように見えてくる。それで今作は何故か Jack White 主宰のレーベルからリリースとなりましたが、ブルースやガレージロック的な要素などはまるで無く、ドゥームメタルとポストロックの境目を緩やかに行き来するような、アブストラクトで実験性の高いものとなっています。ただ前作「Dear」での圧殺されるような重苦しさではなく、ヘヴィな音であってもアンビエント風の心地良い浮遊感が常に付随し、微妙にポップな色味も滲んだ仕上がり。それは Boris としては決して目新しいものではないかもしれませんが、無駄な音を排してストイックに磨かれた音像には彼ら流のフェティシズムが強烈に感じられるし、10分超の長尺曲であっても堅苦しくなり過ぎず、ゆっくりと膨れ上がる音の渦に無心で身を預けることができる。安定かつ圧巻の内容。

Rating: 7.3/10



Boris “LOVE” (Offical Video)