Mura Masa 「R.Y.C.」

R.Y.C

R.Y.C

ガーンジー出身のプロデューサーによる、2年半ぶり2作目。


インタビューによれば、今作は彼が古くに親しんできたロック/パンクのテイストを活かすことで自身の内なるノスタルジーを表現したかったとのこと。ただ過去のバンドなど明確に何かしらの参照元を示しているわけではなく、ハイライトを飾るゲストは Wolf Alice や Clairo など、あくまでも "今" の面々。今後の音楽シーンのトレンドが向かう先にロックの再興があるのでは、と察知した上でいち早くロックへのアプローチを図ったという側面もあるようです。なるほどそれは鋭いかもしれない、ただ今作は…「Raw Youth Collage」の略であるところのアルバム表題、そこで「生々しい」と銘打っている割にはロック由来の荒さや推進力がそこまで強調されているとは思えず、むしろプロダクション的にはエレクトロポップの整然としたフォルムによる軽やかさの方が上位。心地良く耳に馴染む柔らかなテクスチャー、春めいたカラフルな美しさが全体を彩り、それによって歌詞のあちこちで見られる不安や鬱屈などの思いを真っ新に浄化しようとしている風に見えます。このロックとエレクトロの折衷感が自分にはちょっと中途半端と言うか、丸く収まりすぎな気がすると言うか。

Rating: 6.5/10



Mura Masa, Ellie Rowsell, Wolf Alice - Teenage Headache Dreams