睡蓮 「ひたひた」

ひたひた

ひたひた

前作 「音ヲ孕ム」 からわずか半年でリリースされた2作目。


前のイメージを持ってかかると結構裏切られます。和風インダストリアル/エレクトロニカという骨格は同じですが、ちょうど Radiohead が 「Kid A」 と 「Amnesiac」 を2枚に分けたように、前作はト−タリティに重きを置いてストイックな世界観を提示したのに対し、今回はその枠を自ら破るかのごとくポップでヴァラエティに富んだ楽曲が並んでます。入口 「杳として」 と出口 「月ノシュク」 は重苦しいインダストリアル調で前作の路線を引き継いでますが、G線上のアリアみたいな神聖でほっこりしたムードが徐々に歪みだす 「春の國」 、戦前歌謡風マーチングドラムで軽く度肝を抜かれる 「葉蔭行進曲」 、森岡賢効果なのかアッパーなディスコ仕立てとなった 「すきま」 、えらくストレートな慕情を狂おしさ混じりに綴る 「葉桜の頃」 と節操無いとも言えるほどのレンジの広さが面白い。俺はと言うと派手好きポップ好きのポーザーさんなのでこっちの方がより好みです。藤井麻輝ってあまり遊び心とかを見せない、悪く言えば融通の利かないタイプの人だと思ってたんですが、そのイメージもこれ聴いてだいぶ覆されましたね。


Rating: 8.2/10
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