FUJI ROCK FESTIVAL '09 2日目


昨日に続いてフジロックの2日目です。


湯沢からのシャトルバスが予想外に込んでて初っ端の開演に遅れそうになるも、9人乗りタクシーに便乗させてもらって事なきを得る。9人で割り勘すれば千円程度で行けるのでアリな手段じゃないかと。そんでこの日は概ね晴れでした。やっぱり野外っぽさは晴れじゃないと楽しめませんね。メシ食いながらブラブラ辺りを散策して、良さげなライブがあれば寄り道するみたいなのがフェスの楽しみ方ですから。まー人はやたら多いですけども。そんな感じで今日はむしろ日焼けや熱中症に気をつけながら立ち回るの巻。


9mm Parabellum Bullet @ WHITE STAGE
Atari Teenage Riot の SE で威勢よく登場、その昔 ROOKIE A GO-GO に応募したら落とされてしまったらしい 9mm さん。見るのは確か2007年の COUNTDOWN JAPAN 以来か。結構久々なんだけど相変わらずだなー。メタリックな音塊をスピーディに乱射する、けど曲の作りは昭和歌謡風味ギターポップという。メンバー皆ブンブン楽器振り回して暴れまくりでテンションは高いのだけど、どうも聴いてるこっちがそのテンションに乗り切れないのは、やはり楽曲の昭和歌謡っぽさ、あるいはディスコパンクっぽさが勢いにブレーキをかけてしまってるような、食い合わせの悪さを感じるからですかね。切れ味は鋭いはずなのに体感速度がのっぺりしてるような印象が残る。最後の 「Punishment」 みたいにバカっ速い曲をバンバン演ってくれると嬉しいのだけども。ちょっと不完全燃焼。


SEUN KUTI & EGYPT 80 @ GREEN STAGE
やはり昨日の雨は夜の間もずっと続いてたのか、グリーンに戻ると地面の泥濘がまだ残ってて足を取られそうになる。何処でも座れるように来年は折り畳み椅子持って行こうかなー…あまり椅子持ってウロウロするのは嫌なんですけどね。できるだけ手荷物は少なくしたいので。それでこのクティ一家の末裔。正直フェラ・クティとかは不勉強なもので聴いたことないのですが、父親のバックバンドを引き継いでるということで音楽的には同じ感じなのかな。大所帯のメンツによるファンク/アフロビートならではの土臭い躍動感、ホーンの力強い響きが自然と身体を揺さぶってくる、純性のアフリカンダンスミュージック。シェウン本人は長身を大きくくねらせる独特のパフォーマンスで高い熱を発散。どの曲も始まりから終わりにかけて徐々にテンションを上げていく作りで、程良い緊張感と人を選ばない取っつきやすさ、そしてパワフルな貫禄みたいなのも感じられてなかなか良かったです。おそらく最終日のオレンジトリはさらに凄いことになってたでしょうね。


THE GASLIGHT ANTHEM @ WHITE STAGE
午後1時過ぎ、この辺でちょっと日差しがキツさを増してくる。ホワイトは特に日陰も何も無いガランとした空間ですからね…立ってるだけで日光がグサグサ突き刺さるようですわ。んでこの時間はニュージャージー出身の4人組。海外では評価の高いエモ/パンクの新進気鋭バンドですかね。確かにバンドの骨格はエモのソレなのですけど、メロディには良い意味で垢抜けてない、カントリーに通じる昔ながらの牧歌的な暖かみがある気がする。程良い速度と音の硬さで煽りつつ、ポップスとして普遍的な良さも備えてると思います。あまり余計なことはせず、シンプルに歌と演奏を聴かせるパフォーマンスもこの場合良い。サウンドが潔ければスタイルも潔いというね。まだ日本では知名度高くなく観客も疎らだったけど、バンド自体は良かった。音源ちゃんと聴いてみたいと思った次第。


筋肉少女帯 @ WHITE STAGE
ついに来たぜ…。今年のフジ一番の快挙は他でもない、筋少を招聘したことです。 OTODAMA は分かるし、 ROCK IN JAPAN もまだ分かる。だけどまさかフジに出るとは夢にも思わなかった。俺はすげえ喜んだけど誰がどう見てもアウェイ感丸出しで、最初は本当に客が集まるのか不安だったけど、いざ蓋を開けてみれば十分すぎるくらいホワイトが埋まってて心配無用でした。内容はダメ人間に始まりカレーやらブーやら釈迦やら、代表曲満載の初心者向けセットリスト。メンバー皆いつも通りの衣装で登場、オーケンの喋りも相変わらず冴えてるし、ツーバス疾走もお城の立つ速弾きも荘厳なピアノも全くいつも通りの筋少で、それが正しくアウェイをホームに変えるくらいの痛快さで何だか嬉しくなる。またフジにも血気盛んな若者はいるもので、 SE が入った途端に後ろの方からグッと圧力がかかり前列はギュウギュウ詰め。モッシュやダイブもガンガン発生し、 「イワンのばか」 辺りではサークルモッシュまで始まってビックリした。筋少のワンマンでもこんな激しいノリしないぜ…。俺もここぞとばかりにキャッキャしてました。オーバー40のサブカルハードロックエンターテインメントは苗場でも十分有効だと確認できただけでも、今年のフジは成功です。あとこんな山の中まで刺繍入り特攻服持ち込んだコアファンが前列に並び、 「写真撮らせてくださーい」 ってなって開演前にちょっとした撮影会が…ってここ秋葉原か?とても素敵な光景でした。


MELVINS @ WHITE STAGE
こちらも別の意味でフジには似合いそうにないメタル/グランジの大御所。これがまたひっどい音でありまして、まるでチェーンソーで鼓膜を切り刻むかのような、薄汚くささくれ立った圧巻のスラッジギター。 Buzz Osborne は終始しかめっ面で痛烈なヘヴィサウンドを鳴らし、ドスの利いた声でシャウトを響かせる。その様は存在感抜群でカリスマチックな魅力がひしひしと感じられました。そしてこの日はツインドラム編成で、計算し尽くされた変拍子を一分の狂いもなく、強度2倍で打ちつけるリズム隊もギターのヘヴィネスに負けることなく拮抗し、火花を散らす。激しく疾走するパートも良いけど、このバンドが本領を発揮するのはスロウパート。ドゥーム/ストーナーばりの地獄みたいにダルなグルーヴはひどくダークな毒気に満ちていて、ズッシリ身体に圧し掛かると同時にフィジカルな即効性も兼ね備えてる。総じて有無を言わさない凄味に満ちた極道ヘヴィロックで大変痺れました。あまりにハードコアな。


BRIGHT EYES @ RED MARQUEE
ザゼンは正直もういいかなと思って (えー) 、前から名前だけ聞いてたブライトアイズへ。フォーク/カントリー的なアコギ弾き語りで、そこに女性ヴォーカルがハーモニーを重ねたり、エレキギターが暖かく輪郭の滲んだ音をジワジワ広げたりといった感じの、歌心ある良質ポップスでした。あまりがっついて見るタイプでもないし、若干疲れも溜まってきてたのでメシ買って後ろの方でしゃがみこんで聴いてました。素敵な BGM だ。こうやって力抜いてぼやーっとしながらライブ見れるのもフェスならではっすな。


DINOSAUR JR. @ RED MARQUEE
相変わらずミーハー気質なもので、この時間帯は Bad Brains に Easy Star All-Stars と見たいものが被りまくってて相当頭を悩ませたのですけども、やはり新作の 「Farm」 が素晴らしい出来だったダイナソーへ。開演前から客のテンションは沸点寸前。定刻になりライブが始まると当然のようにモッシュやダイブも起こるのですが、そんな客とは裏腹にメンバーたちはあくまで冷静に、自分の演奏に集中してる感じ。その中でやはり主役となるのは J. Mascis 。マーシャルアンプ10台積みでオルタナティブな爆音を撒き散らしつつ裏返りまくりのヘロヘロ声で歌うという、気合の入ってるんだか入ってないんだか全く掴めない様子は完全にスタイルの一つですね。けれどもそんな御大にリズム隊の方も全く負けておらず、一つ一つの音が硬質な芯を持って響く低音はギターの爆音とガップリ四つで組み合い、各々の主張がせめぎ合いながら調和するというアンサンブルの理想を見事に体現していました。技巧的な巧さだけじゃなく、深い味の旨さがあるというか。 「Freak Scene」 「The Wagon」 などの代表曲から 「Pieces」 「Plans」 といった新曲まで幅広く演奏されて非常に盛り上がったのだけど、俺はと言うとはしゃぐよりもその演奏にただ釘付けになってた方が多かったです。ギターソロに入ると尚更。このライブを見て確実に J. Mascis は自分にとってのギターヒーローのひとつとなりました。


んでこのあと Franz Ferdinand 見たかったけど、ダイナソー終わって外に出ると一番聴きたかった 「Do You Want To」 がすでに終了、さらに 「The Dark Of The Matinee」 と続き、うわもう代表曲さんざん演り終えたんじゃないかと落胆してしまい、もう疲れもピークだったので諦めて帰りましたとさ。明日に続く。