神聖かまってちゃん 「つまんね」 「みんな死ね」

つまんね

つまんね

メジャーデビュー作となる初のフルレンス。


今年起こった台風の目のひとつは間違いなく神聖かまってちゃんでした。初の音源リリースや大型フェス参戦、雑誌の表紙巻頭といった普通のステップアップだけではもちろんなく、警察とのバトル、メンバー間のバトル、 NHK で放送事故モンの演奏等々、どれも全部ネットに流れてるだろうから確認すればいいと思うよ。そういったお騒がせの一連もあって今では愛と憎悪に二極分された声を一身に浴びているはずですが、俺は愛を、捻れた愛を送りたいです。今回はの子一人によるインスト曲含めてほぼ全てのストックを吐き出した、さながらベスト盤の様相を呈した内容。楽曲の素晴らしさについては (やはりネット上に続々と上げられていた) デモ音源の時点ですでに立証済みですが、今回のスタジオ録音では大きな改変はせず、順当な清書といった感じ。それだけでもう十分すぎる。繰り返される言葉はきっと 「生」 に向かう歌 「天使じゃ地上じゃちっそく死」 、サビのたった1行でどれほど救われる気持ちになったか分からない 「美ちなる方へ」 、澄み切った声で決定的な断罪を下す4つ打ち曲 「黒いたまご」 などが 「つまんね」 側。(つづく↓)


Rating: 9.6/10



みんな死ね

みんな死ね

上の 「つまんね」 と同時リリースされたもう一方のフルレンス。こちらはインディーズ流通。


詞曲含めてピストルズよろしく女王陛下へのパンク精神を示した (ちがう) 「あるてぃめっとレイザー!」 、ラテン風味のダンサブルな躍動感で男でも女でもない 「自分らしさ」 を願う 「自分らしく」 、ワンピースばりの波乱に満ちた冒険へ出ようと息巻く 「怒鳴るゆめ」 などが 「みんな死ね」 側。音的にそこまで大きな差異はないですが、あえて言えば前者がシンセ、後者がギターに比重を置いた作りか。どちらにしても 「友だちを殺してまで。」 で見せたパワーポップ感がの子の狙いではなかったことが聴いててよく分かる。時にはシューゲイザーかと思うほどテクスチャーを重ねて拡散する奇妙な浮遊感と、あえて狙ったであろうチープな味わいの宅録感。所謂ロックバンド的なダイナミズムは薄いですが、 「神聖かまってちゃん」 という個性の異形さをアピールするにはこの方が良い。きっと誰しもが抱え込み、時にはコップから溢れ出てしまう死 (生) への欲動。それを甘やかに溶かしては煮詰める業の歌が24篇+α。唾棄されても仕方ないくらいしょぼくて情けない 「リアリティ」 はネット親和性のユーモアで味付けすればするほどエグ味を増す。涙が出るほど美味え。


Rating: 9.4/10


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