yazzmad 「picturesque」

picturesque

picturesque

2010年結成の4人組による初フルレンス。


季節はすっかり冬になりましたが、ここに鳴っている音はまるで華やいだ春のようです。最近であれば amber gris と共通する部分も多くある、軽やかなリズムに色彩豊かなコードワークを主とする新世代 V-ROCK 。ネオヴィジュのアッパーな痛快さでもヘドバンを扇動するラウド系でもない、ネオアコ/ドリームポップのエッセンスを感じさせる風通しの良いラフなサウンドは、このV系界隈では新鮮に映ります。微妙に deadman を彷彿とさせる味わい深い哀愁を匂わせるところもミソ。甘酸っぱい感傷、暖かな寂寥が心地良く過ぎていく 「アルクトゥルスとスピカ」 、特にカラフルなアレンジが素朴な暖かみを生み出す 「途遥」 、ホーンの音色を効かせた激渋ファンクチューン 「最愛の人」 、パノラミックに視界が開けるラスト 「魔法の解ける頃」 など10曲。ジャケットにも表れているファンタジックな世界観を志向しつつも過剰さには背を向け、あくまでもポップの普遍性を意識しながら独自の手法を模索する姿勢には非常に好感が持てます。細かな表現力や作曲能力がさらに充実すれば大化けしそうな感バリバリ。

Rating: 8.2/10