人間椅子 「無頼豊饒」

10ヶ月ぶりとなる19作目。


そう言えばかつて無頼男というバンド漫画がありましたけど関係ないですねすいません。オープナー 「表徴の帝国」 から一閃太刀を浴びせるかのごとく切り込むヘヴィサウンド。禍々しいムードがベテランの威厳と共にズシリと圧し掛かるオールドスクール・ハードロックです。昨年の Ozzfest に参加したのが影響してるのか、特に頭3曲はより一層サバス成分が強めに出てる気がするのですが、それはすなわち彼らのルーツを再度見つめ直すことで、結果自らの個性がより強固に発揮されているということです。また 「迷信」 「生まれ出づる魂」 では年甲斐もなくガッツ溢れる疾走感で攻めたり、サイケ/プログレな胡散臭い涅槃が広がる 「悉有仏性」 、珍しくアコースティックで情感たっぷりの 「リジイア」 、さらにはメンデルスゾーンのアレをアレした 「結婚狂想曲」 なんていう遊びもあり、なかなかバラエティに富んだ作り。しかしながら総じてはこれぞ人間椅子と言える太鼓判がくっきり押された盤石の内容です。結成25周年にしてマンネリに陥ることなく、持ち前の味をなお熟成させているのが何とも頼もしい限り。

Rating: 8.0/10