V.A.「きれいなひとりぼっちたち」

初となる銀杏BOYZのトリビュートアルバム。


よく考えれば「光のなかに立っていてね」の時点ですでにそうでしたが、峯田和伸の音楽的嗜好はすでにパンク/ハードコアの枠内にはなく、もっと広い意味でのポップスを意識した部分がありました。今回の人選が峯田自身によるものであるなら、その意識の変化はさらに如実なものとして実感できます。ここには銀杏BOYZと縁の深いミュージシャンも多く揃っていますが、かつての青春パンクバンドとして直接的に繋がってるのはサンボマスターくらい。目映くドリーミーなシンセポップの YUKI漂流教室」に始まり、洒脱にレイドバックしたレゲエインストの YOUR SONG IS GOOD「あいどんわなだい」、何とも潔いピアノ弾き語りの sebuhiroko「BABY BABY」など、原曲の激しさはほとんど抜け落ち、フォーキーで人懐っこいメロディに焦点を当てたカヴァーばかり。少しばかり寂しさを感じなくもないけれど、そもそも銀杏の本質はメロディと歌詞にこそあるのだと思うし、それをヤケクソの勢いでブーストさせたとして本家の銀杏に勝るものはまずないだろうし。ちなみに自分が一番好きなのはもちろん麻生久美子大明神の「夢で逢えたら」です。卑怯やろこんなん。

Rating: 7.1/10



村井守(元 銀杏BOYZドラム)ひとりぼっちトリビュートアルバム試聴会