焚巻「Life is Wonder」
- アーティスト: 焚巻
- 出版社/メーカー: HUMANMUSIC
- 発売日: 2017/04/12
- メディア: CD
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彼の音楽的なバックボーンを認識していなかったのと、フリースタイルバトルでの怒涛の早口ラップばかりが印象に残っていただけに、このオリジナル作で見せる方向性は意外なものでした。トラックは全編クラブジャズで統一。ピアノやサックスの音色が大きくフィーチャーされ、スタイリッシュな色気、何かが起こりそうな熱狂の予感、そういった都会の夜ならではのムードをムンムンに醸し出す。そこに程良くアップリフティングなビートと、焚巻ならではの流暢かつアグレッシブなラップが乗っかり、楽曲全体が一丸となって流れるような躍動感を生み出しています。この音が見せる情景こそが東京という街に対する彼からの視座であり、例えば Robert Glasper を筆頭とする、昨今のヒップホップシーンにおけるジャズの潮流、そこに対する彼なりのアンサーでもあるのかなと。ただバトルの現場から割と地続きの、ストリートスタイルを変わらずに打ち出している焚巻本人と、完全フォーマルスタイルのトラックとの相性が良いかと言うと、若干複雑な気持ちもあるのですけどね。それでもオリジナルの楽曲を作ることへの気概はありありと感じられます。
Rating: 7.1/10