Car Seat Headrest 「Twin Fantasy」

Twin Fantasy [帯解説・歌詞対訳 / 国内仕様輸入盤 / 2CD] (OLE13472)

Twin Fantasy [帯解説・歌詞対訳 / 国内仕様輸入盤 / 2CD] (OLE13472)

米国ヴァージニア出身の4人組による、1年9ヶ月ぶり11作目。


そもそもは中心人物 Will Toledo がたった一人の宅録で制作した2011年の同名アルバムを、正規のスタジオと正規のバンド編成で全曲再録したのが今作とのこと。なので原盤のいかにも宅録的なローファイ感は払拭され、荒々しさは保ちつつもバランス良く整理整頓された音へと変貌しているわけですが、それでも曲自体の魅力が損なわれているわけでは全くなく、むしろ今作が持つ混沌としたパワーを表現するにはこのプロダクションの方が相応しいように思います。PixiesPavement などを連想させる US オルタナティブを基盤に置きつつ、序盤に「Beach Life-in-Death」、終盤に「Famous Prophets (Stars)」といった10分超の壮大なロックオペラが鎮座し、その狭間「Nervous Young Inhumans」「Cute Thing」などでは切なくも痛快なパワーポップセンスが開花。それらの中で彼らが歌っていることというのは、とどのつまり「Beach Life-in-Death」の一節「We said we hated humans / We wanted to be humans」に集約されるのでは。モラトリアム、愛憎、自意識のスパイラルの中で足掻き続け、虚無感に苛まれながらも高らかに声を上げる。正しくドブネズミの美しさ。

Rating: 8.1/10



Car Seat Headrest - "Nervous Young Inhumans"