tofubeats 「RUN」

RUN

RUN

神戸出身のトラックメイカーによる、約1年半ぶり5作目。


オープナーに据えられた表題曲「RUN」を聴くと、焦燥感や空虚感のようなものが未だに彼の中で燻っているのかなという印象を受けます。ただポジティブに前を向いて走るというわけではない、心の隙間をどうにか埋めるために今はただ走ることしか出来ないという、漠然とした不安がこびり付いたままでの疾走。またその他の楽曲、流麗なグライム調の「NEWTOWN」や、ほとんどピアノ弾き語り的なアレンジの「DEAD WAX」など特にアルバム後半において、前作「FANTASY CLUB」で全編をうっすらと覆っていたブルーな感情が今作でも受け継がれており、客演を排した全曲 tofubeats 本人による歌唱というスタイルが、そのエモーショナルな側面をさらに引き立たせています。ただその間に挟まれている、彼のポップス職業作家としての外向きの顔が表れた「ふめつのこころ」や「MOONLIGHT」、またインストゥルメンタルのダンストラック連発といったパートなどは内省的な空気感が薄れ、全体の流れをどうも散漫なものにしているような気がする。確かにどの楽曲にも tofubeats らしい個性は宿っているのですが、統一感のあった前作に比べると色々詰め込み過ぎな感が。

Rating: 6.5/10



tofubeats「RIVER」