Anderson .Paak 「Oxnard」

Oxnard [Explicit]

カリフォルニア出身のシンガーソングライターによる、2年10ヶ月ぶり3作目。

今年のフジロックでは歌やらラップやらドラムやらの様々なパートで多才っぷりをアピールし、いかにもスター然としたパフォーマンスでグリーンステージのオーディエンスを沸かせていた彼。そのオールマイティな力量は今作にも表れています。60～70年代風のレトロスペクティブな演奏から現行のエレクトロニックな質感までを取り入れ、ヒップホップ、ソウル、ファンクといった芳醇な音楽要素が溶け合い、時代の盛衰に依らない、それでいて非常に現代的、先鋭的という印象も同時に受ける、何とも高品質なブラックミュージック。歌詞の内容もトランプ政権に言及したものからカーセックス（ご丁寧に寸劇まで添えて）までと様々な側面を見せ、彼の持つ高度なスキルがあくまでさりげなくスムースな手つきで開陳されています。ただアルバム全体のバランスを意識してかここでは収録されなかったシングル「'Til It's Over」「Bubblin」のインパクトが強すぎたのもあり、今作はいささか収まりが良すぎると言うか、ライブで感じた時の鮮烈なパワーはここでは少し弱まっているかなという印象があります。逆に言えばライブで化ける余白があるということかもしれませんが。

Rating: 7.4/10

Anderson .Paak - TINTS (feat. Kendrick Lamar) (Official Video)