NORIKIYO 「平成エクスプレス」

平成エクスプレス

平成エクスプレス

相模原出身のラッパーによる、約半年ぶり9作目。


半年前にフルレンス、そして今年1月には EP 作「O.S.D.」をリリースという異様なハイペースは、きっと NORIKIYO の中に新たな言葉が止め処なく湧き上がり、自分の中で旬の内に吐き出してしまいたいという思いがあったからだと思います。ではその吐き出したかったこととは何か。アルバム表題をそのまま受け取るならば、それこそ超特急で駆け抜けていった平成という時代の終わりを目前にして、ふと歩を止めて振り返った時のノスタルジックなエモーションが強くなっているのかなと。近道だろうが遠回りだろうが、自分が歩んできた道に責任を持てるのは自分しかいない。そしてこの先未来がどんな方向に進んで行くかも分からない。ただ今、自分にやれることをやるだけだと。ビートはより多彩さを増しながらも全体的にはセンチメンタルな憂いを帯びたトラックが多く、「What I Know About That」や「春風」といった客演ラッパーを交えての楽曲にしても、賑やかさではなくむしろ物悲しい色味が深まるばかり。そのぶん終盤「俺達の唄」での内側から徐々に立ち昇るような力強さも非常に人間臭くてグッとくる。もちろん押韻、フロウの巧みさはいつも通りのキレ。

Rating: 8.0/10



【MV】NORIKIYO / 俺達の唄 feat.MACCHO