堀江由衣 「文学少女の歌集」

4年半ぶりとなる10作目。


正直言うと、ジャケットとアルバム表題を見た時点ですでに違和感はありました。「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」を彷彿とさせる、情景がパッと眼前に広がるような美しい表現だとは思います。ただそこで制服を着てプールサイドに佇む少女を堀江由衣本人が演じるという、ここに彼女自身の意志がどれだけ介入しているのかは定かではないですが、その必然性にはどうも首を傾げてしまいます。すでに20年以上のベテランと呼べるキャリアがあるにも拘らず、未だにこうして純真無垢で清冽とした「若さ」を求められてしまうというのは、あまりにも窮屈な話ではないのかと。そしてその窮屈さは、実際の内容を聴くことでますます強く感じてしまいました。アップリフティングな J-ROCK あるいは4つ打ちシンセポップで彩られた楽曲群は、フォーキーで落ち着いた印象のあるアルバム表題と結構な距離があるように感じるし、露ほどの逡巡もなさそうな歌詞にしてもひどく虚構のように見えてしまう。あまり年齢のことをどうこう言うのもアレですが、ここまで一面的な少女性に囚われなくとも、もう少し経験値の積み重ねに準じた変化があっても良いのでは。

Rating: 4.5/10



堀江由衣「朝顔」Music Video