Quin Kirchner 「The Shadows and the Light」

The Shadows and The Light [帯付き輸入盤]

The Shadows and The Light [帯付き輸入盤]

  • アーティスト:Quin Kirchner
  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: CD
米国シカゴ出身のドラマーによる、2年半ぶり2作目。


優れたアルバムというのはだいたい、冒頭の数秒を聴いた時点で直感的にピンとくるものでして、その点このアルバムは初っ端からビリビリきます。素っ頓狂なシンセとドラム/パーカッションの乱打が絡み合う「Shadows Intro」の強烈なインパクト。その直後の「Batá Chop」では一転し、アフロビートを咀嚼した長尺の構成で粘り強く恍惚を膨らませる。また「At This Point in Time」ではホーンセクションがこれでもかと野性味ある音色を響かせ、「Pathways」ではカリンバを使ってアンビエント風の幻惑世界を構築、そこからシームレスに土着的な躍動感の「Sahara」へと繋げる…といった具合に、全編通じてとにかくアイディアが満載。ジャズというジャンル本来のマナーを踏襲しながら、そのマナーばかりに囚われない自由な発想を盛り込み、宇宙的な広がりすら感じるスピリチュアルな世界観を構築して見せる、その大胆な手腕には否応なしに圧倒されます。荒々しいロールからストレートな縦ノリに突入したりの Quin 本人のドラムプレイを筆頭に、大仰でパワフルな印象がやけに強く、何なら新種のプログレッシブロックとも捉えられそうな2枚組全15曲87分の超大作。

Rating: 8.5/10



At This Point In Time (edit)