MASSIVE ATTACK 「HELIGOLAND」

Heligoland

Heligoland

オリジナル作としては7年ぶりの5作目。 Damon Albarn 他ゲスト多数。


鳴らされる音の一つ一つが精緻かつ的確な 「在るべくして在る音」 にまで研ぎ澄まされており、それらを空間的に配置して自我の内面の奥底にまで潜っていくような静謐さを湛える。なおかつヒップホップ由来のルーズなグルーヴと意外なほどヴォーカルのメロディにも気を配った、トリップホップ代表格たるベテランの個性に貫かれたサウンド。なのですけども、今回の第一印象は 「軽やか」 。例えば 「Mezzanine」 の重厚なゴシック感や 「100th Window」 の徹底して無機質な息苦しさに比べると、今回はメロウな要素の比重が高いためか、身体がフワリと浮くような風通しの良さすら感じます。また同じトリップホップ勢の Portishead 復活作が屈折して澱みまくったダークな瘴気を放っていたのに比べると、こちらはあくまでもテクスチャーのクリーンな洗練/純化に注力してるようで、その意味でも聴きやすいという感覚が強い。個人的にはその聴きやすさが緊張感の緩さに繋がってるようで物足りなさを感じてしまうのですが、徐々に身体に沁み渡る冷たい水のようなメロウ感には心地良く感じる部分もあったり。マッシブ云々を切り離して聴いた方が良いのかもしれませんね。


Rating: 6.6/10
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