Medicine 「To the Happy Few」

To The Happy Few

To The Happy Few

カリフォルニア出身の3人組による、10年ぶり5作目。


90年代は生きている。久々のマイブラ新譜に呼応してかどうかは分かりませんが、90年代前半を駆け抜けたこのバンドもオリジナルメンバーで再集結ということで。醜く歪んだギターノイズと柔らかく繊細なシンセ/男女ヴォーカルのハーモニー、そこに US オルタナティブらしいローファイでささくれ立った荒さも絶妙にブレンドされ、さらにはバタバタとパターンを変えて主張するリズム隊の躍動感も相まって、往年のドリームポップ好きには堪らないであろう瑞々しくカラフルな音響ギターポップ空間が眼前一杯に展開されます。遊び心に満ちた仕掛け満載の 「Holy Crimes」 、茹だる夏の空のように濃密な空間が展開される 「All You Need to Know」 、そして終曲 「Daylight」 は 「Long As the Sun」 に舞い戻る。ゼロ年代前半あたりのエレクトロニカに通じる風通しの良い立体的な広がりであったり、同じくゼロ年代のダンスパンク的な小気味良いグルーヴも加味されていたりと、方向性としてはシューゲ/ドリームポップでありつつ今風の音にキッチリとアップデートされているのが素敵。この懐古と洗練のバランスというのは実はなかなか狙ってやれるものではないのではないかなと。

Rating: 7.4/10