大森靖子 「絶対少女」

絶対少女

絶対少女

愛媛出身のシンガーソングライターによる、9ヶ月ぶりフルレンス2作目。


直枝政広カーネーション) プロデュースということで打ち込みの曲はよりカラフルに、生音主体の曲は殺伐さよりも丸みを帯びた優しさが生まれ、といった具合に音楽的に整理整頓されています。しかしそれが前作での情念をスポイルしているかと言えばそうではなく、むしろ表現の幅が広がって伝わりやすくなったことで攻撃性は増しているかもしれません。 「全ての女子を肯定する」 が今作のテーマとのことですが、ここにあるのは彼女自身のリアリティと、世間一般のリアリティを繋ぎ合わせたビターな日常の悲喜交々。それが彼女なりの言葉で、時にはドギつく、時には繊細な抒情/叙景を交えて綴られていく。俺は男だから彼女の伝えたい表現を本当には理解できないかもしれません。ですがそれでも、涙を誘う牧歌的な穏やかさと冷や水を浴びせられるような鋭さが交互に歌われる、その歌の数々にはやはり意識を惹きつけられてしまう。ラストのタンポポI&YOU&I&YOU&I」 カヴァーもこの流れで聴くと別の意味が生まれているような気がするけどどうでしょうか。ちなみに個人的に一番好きなのは 「君と映画」 でした。

Rating: 7.2/10