KAMIJO 「Symphony of The Vampire」

ソロ名義としては初のメジャーデビュー作となるミニアルバム。


10歳の若さで死去したルイ17世が実はヴァンパイアとして生き延びていたというストーリーに基づく全7楽章28分。この設定の時点で思わず目頭が熱くなってくる。思えば長いキャリアの中で彼の耽美主義がブレたことなどなかったし (最初からブッ飛んではいたけども) 、敢えて引くという手を打ったこともなかった。今までに音楽性の変化はあっても、彼が表現しようとした世界観は LAREINE 時代から頑ななまでに一貫していました。その耽美主義が様式美メタルバンドであった Versailles での経験を経て、今作でより力強く華やかに発展しています。内容はほとんど曲間の切れ目なく繋がれた、正しい意味での組曲的構成。全編にフルオーケストラを導入し、目まぐるしい勢いで薔薇の王宮が築城されていくネオクラシカル・スピードメタルの応酬です。 「愛し方もまだ知らない耽美主義者だから」 と歌詞にもあるように止まることなど一切知らず、ほとんど休む暇もなく荘厳なヘヴィサウンドを打ち鳴らし続ける。常に過剰に突き抜けた豪華絢爛っぷりを見せつける、彼の美学に裏打ちされたフランス愛はあまりにも、あまりにも深い。

Rating: 7.7/10