Arcade Fire 「Everything Now」

EVERYTHING NOW

EVERYTHING NOW

3年9ヶ月ぶりとなる5作目。


目下賛否の割れまくっている本作、確かに Arcade Fire としては少々複雑な内容かもしれません。Thomas Bangalter(Daft Punk)を筆頭に多数のプロデューサーが名を連ね、完成したのは前作「Reflektor」でのファンク/ディスコ路線を引き継ぎ、よりライトで取っつきやすい方向に歩を進めた、彼らのカタログの中では最もポップな手触り。相変わらずの壮大でアンセミックな力強さを感じさせる表題曲「Everything Now」、シンセのニューウェーブ感が強められた中で自殺についての歌詞が朗々と歌われる「Creature Comfort」、また中盤ではダブ/レゲエの「Peter Pan」「Chemistry」からパンキッシュな勢いの「Infinite Content」へ急転するなど、まるでミュージカルのシーンが移り変わるような軽やかさで音楽性がスイッチされる。ただそのいずれもが濃密な質量を誇っていた「Reflektor」と比較すると薄味な感は否めず、これまで常に革新的な世界観を提示していた彼らにしてみると、今作はいささか弱い。ただ昨今のポップ隆盛の潮流に対する彼らなりのアンサーと考えるとそれはそれで面白いし、ライブでは化けそうな予感もあるしで、やはり捉えるのが難しいなこれは。

Rating: 7.5/10



Arcade Fire - Everything Now (Official Video)