神聖かまってちゃん 「児童カルテ」

- アーティスト: 神聖かまってちゃん
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2020/01/08
- メディア: CD
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ベースのちばぎんが脱退を表明し、現体制としては最後になる今作。内容は全体的にギターよりもシンセに比重の寄ったアレンジが多くなっています。端的な英語詞がカオスっぷりを助長する人力トランス「Girl2」や、怪電波を大いに受信した盆踊りナンバー「幽霊少女シニテー」ではの子の内なる混沌をポップに開陳し、「静かなあの子」「ディレイ」などでは元来の優しいメロディセンスを手堅く発揮。そして「聖マリ」「夜空の虫とどこまでも」の新録版はリズム面が強化されて曲の持つスケールが拡大した感触。いずれにしてもシンセ主体の浮遊感ある音像、またヴォーカルも高音へのエフェクト加工がいつも以上に多めだったりで、華やか、軽やかといった印象が強く残る。「るるちゃんの自殺配信」「毎日がニュース」など歌詞の題材がヘヴィな楽曲も、曲調の軽快さによって全体の流れに綺麗に収まり、躁鬱を不安定に行き来していると言うよりは、病状が快方に向かい、肩の荷が下りる時の安心感を覚えます。そして最後の「匿名希望くん」。3分にも満たない小曲ながら、波乱の10年間を生き抜いたの子の辿り着いた心境がここかと思うと、うっかり涙がこぼれそう。
Rating: 8.0/10